この記事は2026年8月時点の情報です。暗号資産の税制はいま動いている最中で、今後変わる可能性があります。実際の申告にあたっては、必ず国税庁の最新の公表資料をご確認いただくか、税理士にご相談ください。
ステーキング報酬にも税金がかかります。しかも株の配当とは仕組みがかなり違い、高配当株に慣れている方ほど戸惑うところです。
いまの扱い:受け取った時点で雑所得
ステーキング報酬は、原則として雑所得に区分されます。給与などほかの所得と合算する総合課税なので、所得が多い人ほど税率が上がります。
| 株の配当 | ステーキング報酬 | |
|---|---|---|
| 所得区分 | 配当所得 | 雑所得 |
| 課税方式 | 申告分離課税 | 総合課税(合算) |
| 税率 | 一律 20.315% | 所得に応じて変動(住民税込みで最大55%) |
| 源泉徴収 | あり(特定口座なら申告不要も) | なし |
| 課税のタイミング | 受取時 | 受取時(売っていなくても) |
いちばん注意すべきは「売っていなくても課税」
ここが株と決定的に違うところです。
ステーキング報酬は受け取った時点の時価で評価して、その年の所得になります。日本円に換えていなくても、通貨のまま持っていても、課税対象です。
たとえば
1万円相当のイーサリアムを報酬として受け取った
→ その年の雑所得が1万円増える
→ 売っていなくても申告の対象
さらに、その報酬をあとで売ったときには、値上がり分にもう一度課税されます。受け取ったときの価格が取得価額になり、そこからの差額が課税対象です。二重課税ではありませんが、2段階で発生することは知っておいてください。
年20万円以下なら申告不要、とは限らない
よく言われる「年20万円以下なら確定申告は不要」というルールは、給与を1か所から受けていて、給与以外の所得の合計が20万円以下の場合の話です。
注意点が2つあります。
- ステーキング報酬だけでなく、ほかの雑所得と合算して20万円で判定します
- 所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要です
また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下でも報酬を含めて申告することになります。
2026年3月に法改正が成立しました
暗号資産の税制は、いま大きく動いています。
令和8年度の税制改正で、暗号資産の売却益を申告分離課税(20.315%)にする方針が示され、改正所得税法は2026年3月31日に成立・公布されました。最大55%だったものが一律20.315%になる、大きな変更です。
ただしすぐに適用されるわけではありません。
適用が始まるのは金融商品取引法の改正が施行された翌年の1月1日以後とされており、2026年8月時点では2028年1月からが有力と見られています。それまでの取引は、これまでどおり総合課税で申告することになります。
ただし、ステーキング報酬は対象外という指摘があります
ここは特に注意が必要なところです。
この改正で分離課税の対象になるのは暗号資産の譲渡(売却)による所得とされており、マイニングやステーキングによる報酬は対象外で、引き続き総合課税のままという解説が出ています。
つまり、もしこの解釈のとおりなら——
- 暗号資産を売った利益 → 2028年以降は20.315%(見込み)
- ステーキングで受け取った報酬 → これまでどおり総合課税
この点については、当サイトとして断定を避けます。複数の専門家がそう解説していますが、施行に向けた政令や通達はこれからです。ステーキング報酬の扱いがどうなるかは、続報を追って確認してください。
実務で困りやすいこと
受け取りのたびに時価の記録が要る
報酬は毎月(銘柄によっては毎週)付与されます。そのつど「何枚を、いくらで受け取ったか」の記録が必要です。取引所の年間取引報告書や履歴のダウンロード機能を活用してください。
複数の取引所を使っていると集計が煩雑
当サイトでは「銘柄ごとに置き場所を変える」という考え方をご紹介していますが、口座が分かれると集計の手間は増えます。暗号資産の損益計算ツールを使うか、記録の付け方を最初に決めておくことをおすすめします。
損失が出ても給与とは相殺できない
雑所得の損失は、給与所得などとの損益通算ができません。翌年への繰り越しもできません。株式の譲渡損失とは扱いが違います。
結局、年率をどう見ればいいか
当サイトの比較表に載せている年率は、すべて税引き前です。
総合課税で税率が高い方の場合、手取りは表示の半分近くまで下がることもあります。イーサリアムの希薄化調整後1.19%は、税引き後ではさらに小さくなります。
そのうえでも、やらない理由にはなりません。ステーキングをしなければ報酬はゼロで、税金もゼロですが、新しく発行された通貨は他の参加者に配られます。税引き後で少しでもプラスなら、やったほうが有利であることは変わりません。
ステーキングでお得な「置き場所」はこちら
同じ銘柄でも、どこに置くかで手取りが変わります。17銘柄について、手数料を引いた後の年率と希薄化調整後の利回りを並べました。SBI VCトレードとGMOコインの両方が扱う5銘柄は、すべてGMOコインのほうが手取りで有利という結果です。イーサリアム(ETH)は、bitbankを加えた3社で比べられます。
次に読むなら
本ページは2026年8月時点の情報をもとに、一般的な内容を整理したものです。税務の取り扱いは個々の状況により異なり、また制度は変更される可能性があります。具体的な判断にあたっては、国税庁の公表資料をご確認のうえ、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。当サイトは税務相談に応じるものではありません。